作品背景

鹿踊りとは、主に東北地方に伝わる郷土芸能です。
鹿の頭部を模した鹿頭(ししがしら)をかぶった踊り手が、鹿の動 きを表すように上体を大きく前後に揺らし、太鼓と笛の音に合わせて歌い踊るものです。表情は動物の鹿というよりも鬼に近いと感じます。
鹿踊りには”死者を供養する”意味があると伝承されていますが、その起源には様々な説があり、未だ解明されていません。
 
川内鹿踊には代々守り続けてきた”巻物”があります。
“巻物”とは芸能団体が所有するもので、その芸能の起源や由来などを記したものです。
川内鹿踊の巻物は年に1度、お盆期間最終日の8月16日に、”巻物開き”という儀式でのみ出されます。その儀式の際も、中身を開くということはありません。そのため、何が書いてあるのか川内鹿踊保存会も知りませんでした。
私は川内鹿踊の巻物の中に、鹿踊りの起源を知ることができる鍵があると考えました。
今回、ドキュメンタリー制作に伴い、様々な機関の協力のもと、特別に巻物の公開を許可され、巻物の解読を行うことができました。
巻物には一体何が書かれているのか?そして、巻物はなぜ書かれたのか?
神職、仏教者、踊り手、鹿猟師へのインタビューも混じえ、多角的に鹿踊りについて探ります。


監督

坂下 清

Kiyoshi Sakashita

1981年、岩手県宮古市生まれ。成安造形短期大学造形芸術科卒業。
第6回MiO写真奨励賞にて優秀賞受賞、第1回倉敷現代アートビエンナーレ西日本展にて玉島商工会議所会頭賞受賞、エスクァイア日本版デジタル写真賞'06-'07にて動画賞受賞。

本作品は長編ドキュメンタリー映画の2作品目。
1作品目の「波あとの明かし」は第14回山形国際ドキュメンタリー映画祭「ともにある Cinema with Us 2015」正式出品作品となる。

 


※再生環境により、音声にノイズが入る部分があります。イヤフォンをしてご覧いただくと正しく再生されます。

2016年 2月20日 京都新聞


 
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